ネット証券で1位になれた理由

チャールズ・シュワブはインターネットを通じたオンライントレーディングを誰よりも早く開始したわけではない。また、ほかのオンラインブローカーに対して、絶対的な価格優位性を持っているわけでもなかった。しかし、証券業界で1位になった。

創業者チャールズ・シュワブ氏の略歴

チャールズ・R・シュワブ(Charles R.Schwab)氏は、1937年米カリフォルニア州生まれ。1961年にスタンフォード大学経営大学院卒業。1971年に、従来型の証券会社としてチャールズ・シュワブ・コーポレーションを設立した。

1974年に割安な手数料で株式や投資信託を販売するディスカウント・ブローカー業務に最初に参入し、手数料自由化を一気に促した。

投信のスーパーマーケット「ワンソース」を開発

系列に関係なく膨大な数の投資信託をひとまとめで販売する投信のスーパーマーケット「ワンソース」を開発し、米投信市場の拡大をリードした。

シュワブのビジネスモデル

投資信託で稼ぐ

株式の投資家が求めるのは、自らの資産特性や投資スタイルに合った資産運用だ。それを実現するために必要なのは、必ずしも安価な取引手数料のみではない。また、オンラインでいつでも取引可能という利便性のみでもない。

シュワブがその点に着目した代表例が、「ワンソース」と呼ばれるサービス。シュワブ以外のものを含む400を超える投資信託の売買を、ネット上で手数料ゼロで行えるサービスと、それを支える無料ツール群だった。

これらのツールには、それらファンドの過去のパフォーマンスや運用スタイル等により比較・選定するためのツールや、顧客ごとのポートフォリオを管理するためのツール、税務申告書類作成ツール等々が含まれる。シュワブが得るのは、投資信託運用会社からの棚出し料だ。ファン運用会社にとってもシュワブの「棚」に乗ることで、低コストでヒット率の高いマーケティング効果が得られる。

フィナンシャル・アドバイザーを組織化

さらに、「シュワブリンク」と称してフィナンシャル・アドバイザーを組織化した。彼らの顧客の資産ポートフォリオ管理やファンドの売買を「ワンソース」で行わせることによって、従来高額であったアドバイスサービスを比較的低コストで提供することを可能とした。これによって、ある程度の資産規模を有するミドルアッパークラスの顧客層をも取り込むことに成功した。

音声認識電話やコールセンター

また、サービス提供チャネルの面でも、音声認識電話やコールセンター、店舗といった、ほかの多くのオンライン証券会社にはない幅を用意した。証券相場への反応感度が異なる投資家層のニーズにこたえたり、対面で獲得した顧客を、より低コストなチャネルに誘導するといったことを可能にした。

動画

創業者チャールズ・シュワブ氏のインタビュー

出典